からくり創作研究会
「からくり箱」とは、箱根小田原地方で作られてきた伝統工芸品「秘密箱」の発想や技術をベースに、新しい職人たちの自由な発想で作られている仕掛けのある箱。「箱」というイメージからはみ出したようなデザインがあったり、開け方にもひと工夫ふた工夫されていたり、作った職人のメッセージを感じるようなものも多いのが特徴です。
「からくり創作研究会」は、1999年5月、箱根小田原地方を中心に、楽しく質の高い「からくり箱」の創作を目指す職人が集い発足しました。それぞれが個性豊かな作品を作っていますが、「研究会」名義で、手頃な価格で面白い「からくり小箱」や、昔の歴史的なからくりの復刻版を作ったり、本を出版したりと、幅広い活動もしています。また、2005年には、からくり創作研究会の職人が製作したからくり箱、及び会として企画・開発したからくり箱の販売・宣伝活動を担う企業として、有限会社からくり企画を設立しました。
2010年には展示会を開催
この時展示したのは、亀井明夫さんはじめ、ベテラン宮本達雄さんのほか、岩原宏志さんや、角田遥さん、川島英明さん、田嶋士郎さん、齋藤香奈絵さんなどの若手の作品をご紹介しました。
亀井明夫:美しい木のからくり
「からくり創作研究会」最大の重鎮亀井明夫氏をご紹介します。拙著『まだ好き・・・続・絵本とおもちゃの日々』でも一度取り上げた事があります。彼の作品は、とにかくバラエティーに富んでいます。発想の幅が広いんですね。亀井氏は、『真面目に取り組まなければならない箱、真面目に取り組んでは開かない箱、常識の逆を考えなければならない箱、ユーモアが解らなければ開かない箱等々・・・こうなると、からくり箱を初めて手にする人も「こういうものは得意だ」と自負する人もスタートラインは同じなのです』と語っています。まさにその通り。
美しく素晴らしい仕上げ(・・・そのせいでちょっと値はいいけどね)、パズル好きの恋人や友人に、ちょっと気合いの入ったプレゼントにいかが?
(「コプタ通信」2009年12月号/相沢)
名作揃い!からくり箱の第一人者
秘密箱の持つ魅力を基本におきながらも、より豊かなる表現を求めて木箱を作ってみようと思いました。そして私の作ったその木箱の名前を「からくり箱」と命名しました。こうして「からくり箱」が生まれました。真面目に取り組まねばならない箱、真面目に取り組んだのでは開かない箱、常識の逆を考えねばならない箱、ユーモアが解らなければ開かない箱等々・・お客様の頭の中で想像力が飛び交っている様子を想像するのが何よりです。
1948年 大阪府豊中市にて誕生 1972年 山中組木工房入社 (木工、組木細工の世界に入る) 1981年 からくり細工「安兵衛」設立 (以后からくり箱の創作を続ける) 1983年 銀座松屋遊びのギャラリー 「亀井明夫のからくり箱」展 2011年 からくり創作研究会 会長就任 (からくり創作研究会サイトより)
川島英明
こだわりは「精密さと美しいデザイン」
幼少の頃からものづくりが好きでした。
ラジオやカメラなどの機械を分解しては構造を観察したり、幾何学に興味がありました。
美術大学では照明演出を専攻し、更に独学で幾何学構造を研究し、様々なユニット折り紙を創作しました。
私はシンプルな機構の組み合わせで、複雑なパズルを生み出すのが好きです。そこに美しさを感じます。
作品を通じてコミュニケーションが生まれれば幸いです。
1985年 神奈川県生まれ 東京育ち 2008年 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業
小田原へ移住、からくり創作研究会に参加2016年 LEXUS NEW TAKUMI PROJECT神奈川代表選出 2017年 川島木工として独立 (からくり創作研究会サイトより)
角田遥
物語性のある動物ものが得意
親しみ慣れた空間に静かに溶けこみ、存在するように。
日々の時が流れていく中で、ほっと息をつけたり、くすりと笑えるものを作っていけたらと思います。
1982年 茨城県生まれ 2004年 金沢美術工芸大学工芸科漆・木工コース卒業 2005年 長野県立上松技術専門校木材工芸科卒業 2006年 からくり創作研究会に参加 (からくり創作研究会サイトより)
田嶋士郎
小田原という環境の中で、幼い頃から秘密箱や寄木細工を見て育ちました。小学生の頃に、祖父に4回の秘密箱を買ってもらい、嬉しかったのですが、それ以上に、7回を買ってもらった兄をうらやましく思った思い出があります。私自身、手でさわってこちょこちょと動かせるような作品が好きなので、さわって動きが面白い作品、さわり心地のよい作品を作りたいと考えています。
- 1971
- 愛知県春日井市に生まれる
- 1996
- (株)露木木工所に入社
- 1998
- 木工品フェア出品
- 1999
- 木工品フェア出品
岩原宏志
私の親方である亀井明夫氏の作品の一つに、CUBIという作品があります。二進法(BINARY)の動きをする立方体(CUBE)の箱です。「ややこしい」からくりの頂点のような作品ですが、私はこの箱に感動し、「CUBIのような作品を作りたい」と思い、からくりの世界に入りました。複雑な機構とシンプルな表現がうまく組み合わされた時、そこに、機能を重視するが故の美しさというものが生まれると思います。私は、こんな作品を目指します。
- 1973
- 福島県に生まれる
- 1997
- 埼玉大学工学部建設基礎工学科卒業
- 1999
- 長野県松本技術専門校木工科卒業
- からくり細工「安兵衛」亀井明夫氏の元に弟子入り
- からくり創作研究会に参加
宮本達雄
父親がトリック作品を作っていたこともあり、私も木工を始めた当初からずっとトリック作品を作り続けてきました。「犬くわえ」などのトリックの入ったタバコ入れ、「古典円盤オルゴール」、「蓄音機」、「街頭オルガン」など、様々なトリックを作ってきました。オルゴールを使ったからくりだけではなく、新しい一味違ったからくりを作っていきたいと考えています。
からくりパズル工作キット
からくり創作研究会企画・製作による「からくりパズル工作キット」です。キットに入っている材料は、必要な大きさにカットされ、穴などの加工も済んでいます。説明書を見ながら、ボンドを使って組み立てます(木工用ボンドはご用意下さい)。
自分で作ることで、「からくり」の秘密ががよ〜くわかります。作ったら、友だちに「開けてごらん」と言って手渡すのも楽しいよ。
写真は完成したものに、さらに彩色されています。実際には彩色されていないので、絵の具やペンなどで好きな色を塗って、自分だけのオリジナル作品を作りましょう!
キットに入っているもの
- カットされ加工された木材(カツラ、合板ほか)
- 必要に応じて、ピン、磁石など
- 詳しい作り方説明書
作るのに必要なもの
- 木工用ボンド
- 手ぬぐい(手に付いたボンドをぬぐうため)
- 絵の具など(必要に応じて)
からくり小箱
「からくり小箱」シリーズは、手のひらにちょこんと乗るポケットサイズ。仕掛けはシンプル、でも面白い。そして丁寧な作りと美しい仕上げ。三拍子揃ってこの価格!
ちょっとからくり
「ちょっとからくり」シリーズの開発を始めました。「からくり小箱」よりも更に「ちょっとした」からくり作品を作ります。「ちょっとした」アイディアでありながら、十分に楽しめてしまう、そんな作品を目指します。意外性、シンプルさ、低価格をキーワードとし、凝ったからくりではなく、軽い気持ちで楽しめる作品を目指します。