電動・ライト付・サウンド付の車両について
乳幼児期にはおすすめしません
百町森では、電動やサウンド付、ライト付の車両を紹介はしますが、決してお薦めはしません。むしろ、乳幼児期の子どもには、与えないようお願いしたいくらいです。
木製レールの醍醐味は、自分で好きなように動かしたり、自分で「シュッシュッ」「ポー」と言いながら走らせることにあります。わが子が2〜3歳の頃、床の敷居の上で列車をただ前後に動かすだけで、充分に満足していました。目線を床に近づけて…、きっと本物の臨場感を想像していたのだと思います。その後、親が組んだレイアウトで遊ぶようになり、徐々に自分でレイアウトを作るようになり、それぞれの列車に役割を与えたり…と遊びが深まっていくと同時に、大人にも理解できるようになってもきたのです。その一方で、本当に小さい頃、彼の心の中で何が起こっていたのかは想像すら出来ません。機関士になっていたのか、傍で見ている子どもになっていたのか、はたまた、機関車そのものになっていたのか…。いずれにせよ、その時彼が手に持っていた機関車と、彼の心はほとんどひとつになっていたのは間違いありません。そしてその心の状態は、成長するにつれて徐々に薄れてしまうのです。
電動の楽しみは、思いどおりにコントロールする楽しさ
大人もハマる鉄道模型の場合、レイアウトを計画しジオラマのように細部まで作り込む楽しみ、電動で列車を思いどおりにコントロールする楽しみ、もちろん好きな車両を集める楽しみなどがあるように思います。
木製レールの電動車両の場合は、うまく列車が周回するようにレイアウトを作り、実際に走らせてみて、狙いどおりに動いたときの満足感、ポイントや駅、車両本体をタイミングよく操作する楽しみなど、鉄道模型の持つ大人の楽しさを子どもの世界に持ち込んだともいえます。
言い換えれば、レイアウト全体を見渡しながらコントロールする電動の楽しみは、列車そのものと一体になって臨場感を味わう乳幼児期の楽しみよりも、より大人に近い感じがするのです。
どうか先を急がないで
電動にすると見ているだけになってしまう、刺激が強過ぎて飽きやすい、思いどおりに動かせないので面白くない…、など色々な言い方も出来るのですが、せっかく列車と一体になって遊べる乳幼児期だからこそ、電動車両でその楽しみを奪って欲しくない。それは、手で存分に動かして楽しんだあと、たとえば小学生になってからでも充分楽しめるし、今度は逆に電動の面白さがよくわかると思います。
セット商品などに電動車両が入っていた場合は…
- 多くの場合、電池を抜いても手動では動かせません。
- 電動車両はしまっておいて、子どもが大きくなってから与えてください。
- 代わりに通常の手で動かす機関車を用意してあげてください。
ささいなことと思われるかもしれませんが、ぜひお子さんに手に持って遊ぶ楽しさを味わわせてください。動力のあるおもちゃを与えないもご参照下さい。
(2005年8月 佐々木隆行)