読むべき物語はここにある
私が「文庫派』になったわけ
「文庫を買おう」と思ったのは、長男が中一、次男が小五のときでした。私は、子どものころから図書館に通う本好きでしたが、残念ながら何を読んだか覚えていない。結局、覚えているのは自宅の本棚に並んでいた本なんです。また、いわゆる名作はダイジェストどまりだったのも残念でした。せめて自分の子どもには、もう少しましな読書体験をさせたい、と少年文庫を買い始めたのです。文庫なら、ハードカバーと同じ金額で2〜3冊買えて、コンパクトだし(朝読書に最適)、選書もしっかりしていて、古今東西、幅広くカバーできるので言うことなしです。
買ってみると、結構喜んで読んでます。「家にいつもある」のが大事な気がします。読まない本もありますが、「そのうち読むだろ」と、別の本を用意してやります(安いし)。今の悩みは、読みたい本が多くて読み切れないこと。もう少し早く始めればよかった、と今では思います。小学校3・4年くらいから楽しめるものがあるので、とにかく「読んであげる本」として、何冊か試してみて下さい。「読んでもらっているうちに、続きが待てなくて自分で読んじゃった」が理想のパターンです。
(2010年06月 佐々木)
岩波少年文庫は創刊70年
1950年といえば戦争が終わってまだ5年、「未曾有の崩壊を経て、まだ立ちなおらない今日の日本」(発刊のことばより)で、ずさんな翻訳や粗雑な製本が横行する中、岩波少年文庫が登場しました。少年文庫の編集主任として岩波書店に入社した石井桃子さんが、「私が読んで楽しめる本」を選び、美しい装丁をほどこした5冊の本を手にした当時の子どもたちの喜びは、どれほどのものだったでしょう。今の私たちには想像することすら難しいかもしれませんが、幸いなことに、同じ本を読んで喜びを味わうことはできるのです。装丁を変え、時には訳を変えて、生き続けてきた世界の児童文学の宝庫に手を伸ばしてみませんか。
小学校中学年くらいから
「文庫は字が多いし、ボリュームもあるから無理」なんて考えないでくださいね。絵本をたっぷり読んでもらい、幼年童話にも親しんで来た子なら、きっと大丈夫。読んであげるのは大変ですが、ぜひチャレンジしてみてください。
点数は多くはありませんが、選び抜かれた作品ばかりです。
小学校高学年くらいから
このカテゴリの作品はたくさんあるので、選び放題です。高学年で、これらの作品に出会えるなんて幸せです。
中学生くらいから
何かと忙しい中学生。自分で読む本は自分で選ぶようになっているでしょう。しかも、周囲ではライトノベルや、若い感性の日本人作家など、比較的「読みやすくて、今の空気を感じる」作品が待っています。
ここで紹介するような作品は、古典やロングセラーが多く、取っつきにくいかもしれません。でも、物語の持つ力は今も十分通用するものです。ぜひ、これら人類の遺産に触れさせてほしいと思います。もちろん、大人が読んでも面白いので、ぜひどうぞ。
ランサム・サーガ
ランサム・サーガ 01 岩波少年文庫 170
ツバメ号とアマゾン号(上)
- ツバメ号とアマゾン号(上)(岩波少年文庫)
- 800円+税(10%税込880円)
ご存じの方も多い英国児童文学不朽の名作。夏の休暇で湖畔の農場に滞在している4人き...
ランサム・サーガ 01 岩波少年文庫 171
ツバメ号とアマゾン号(下)
- 少年文庫171 ツバメ号とアマゾン号下
- 800円+税(10%税込880円)
船長フリントのハウスボートにどろぼうが入り、うたがいをかけられてしまったツバメ...
ランサム・サーガ 02 岩波少年文庫 172
ツバメの谷(上)
- 少年文庫 ツバメの谷 上
- 800円+税(10%税込880円)
夏休みが来て、彼らは念願のヤマネコ島をふたたび訪れます。でも、思っていたのと何か...
ランサム・サーガ 02 岩波少年文庫 173
ツバメの谷(下)
- 少年文庫 ツバメの谷 下
- 800円+税(10%税込880円)
訳者あとがきも素晴らしいが、イラストレータで絵本作家の高柳佐知子さんのイラスト付...
ランサム・サーガ 03 岩波少年文庫 174
ヤマネコ号の冒険(上)
- ヤマネコ号の冒険(上)(岩波少年文庫)
- 900円+税(10%税込990円)
ツバメ号とアマゾン号の乗組員たちは、老水夫ピーター・ダックと知りあい、帆船ヤマ...
ランサム・サーガ 04 岩波少年文庫 176
長い冬休み(上)
- 長い冬休み(上)(岩波少年文庫)
- 720円+税(10%税込792円)
氷にとざされた「フラム号」での楽しい日々。キャプテン・フリントの帰還、ナンシイの...
ランサム・サーガ 04 岩波少年文庫 177
長い冬休み(下)
- 長い冬休み(下)(岩波少年文庫)
- 760円+税(10%税込836円)
氷にとざされた「フラム号」での楽しい日々。キャプテン・フリントの帰還、ナンシイの...
ランサム・サーガ 06 岩波少年文庫 180
ツバメ号の伝書バト(上)
- ツバメ号の伝書バト(上)
- 760円+税(10%税込836円)
夏休み、いつもの湖のほとりに集まったツバメ号、アマゾン号の乗組員と、Dきょうだ...
ランサム・サーガ 06 岩波少年文庫 181
ツバメ号の伝書バト(下)
- ツバメ号の伝書バト(下)
- 760円+税(10%税込836円)
夏休み、いつもの湖のほとりに集まったツバメ号、アマゾン号の乗組員と、Dきょうだ...
ランサム・サーガ 07 岩波少年文庫 182
海へ出るつもりじゃなかった(上)
- 海へ出るつもりじゃなかった(上)(岩波少年文庫)
- 880円+税(10%税込968円)
船長が不在の時に、霧にまかれ、錨を失ったゴブリン号。乗組員はツバメ号の子どもた...
ランサム・サーガ 10 岩波少年文庫 188
女海賊の島(上)
- 女海賊の島(上) (岩波少年文庫 ラ
- 760円+税(10%税込836円)
世界一周の航海中、南シナ海に入った帆船ヤマネコ号は、思わぬ事故で炎上、難をのが...
ランサム・サーガ 11 岩波少年文庫 190
スカラブ号の夏休み(上)
- 岩波少年文庫スカラブ号の夏休み上/ランサムサー
- 720円+税(10%税込792円)
新しい帆船、スカラブ号もできて、子どもだけで楽しい夏休みを過ごすはずが、突然の...
ランサム・サーガ 11 岩波少年文庫 191
スカラブ号の夏休み(下)
- 岩波少年文庫スカラブ号の夏休み下/ランサム
- 760円+税(10%税込836円)
新しい帆船、スカラブ号もできて、子どもだけで楽しい夏休みを過ごすはずが、突然の...
ランサム・サーガ 12 岩波少年文庫 192
シロクマ号となぞの鳥(上)
- 岩波少年文庫 シロクマ号となぞの鳥 上
- 760円+税(10%税込836円)
帆船シロクマ号での航海の途上、スコットランド近海の小さな入り江に停泊したキャプ...
小人の冒険シリーズ
編み棒や安全ピン、鉛筆など、たくさん買っているはずなのに、使おうとすると見つからない―そんなことはありませんか。もしそうなら、そのおうちには「借り暮らしの人たち」がいるのかもしれません。
イギリスの、ある古い家の床下に、「借り暮らしの人たち」―身長は15センチほどの小人の一家が住んでいました。小人の少女アリエッティが、その家の男の子に姿を〈見られ〉てしまったことから、スリルに満ちた事件がつぎつぎと起こります。
各話のあらすじ
- 1 床下の小人たち
- イギリスの古い家の床下に、小人の一家が住んでいました。彼らにとって、人間と関係をもつことは絶対にしてはならないことです。けれど、小人の少女アリエッティは、床下の暮らしにあきあきして、外の世界にあこがれ、その家の男の子と知り合いになります。
- 2 野に出た小人たち
- 床下にひっそりと暮らしていた小人たちは、人間に見つかったことで、野原に脱出します。アリエッティは明るい日光や、野イチゴつみを楽しみ、野育ちの小人スピラーと友だちになります。しかし、人間からはなれてくらす戸外の生活は、容易ではありませんでした。
- 3 川をくだる小人たち
- 小人スピラーの助けで、小人の一家は森番の小屋にたどりつき、いとこの家族と再会します。が、ここも安住の地ではありませんでした。下水管を通って外へ出た一家は、やかんにのって川をくだりますが、新しい旅には大きな危険がまちかまえていました。
- 4 空をとぶ小人たち
- 川をはさんで、心やさしいポットさんの村と、見物客めあてのプラター氏の村、2つの模型の村がありました。小人の一家は、ポットさんの家で楽しく暮らすも、プラター氏に誘拐されてしまいます。小人たちは、ゴム風船で気球をつくり、脱出を試みます。
- 5 小人たちの新しい家
- 劇的な脱出をはたした一家はふたたび川をくだり、ようやく静かな古い牧師館にたどりつきました。今度こそ、そこは一家にとって安心して暮らせるすみかになるのでしょうか。小人の冒険シリーズ最終巻。
ナルニア国ものがたり
ディズニーによる映画化で、一躍脚光を浴びることになった「ナルニア」ですが、日本では40年も前から、読み継がれてきたロングセラーのファンタジーです。
7つの物語は独立していますが、全体として「ナルニア」の誕生から滅亡までを描いた壮大な年代記となっています。
(2006年3月 佐々木隆行)