親こそ読むべし!ジュニア新書
中学生・高校生向き新書の元祖とも言えるのが、岩波ジュニア新書シリーズです。当然、大人向けのものよりも読みやすく、テーマも歴史、現代社会、生き方といった若者向けに加え、国語、英語、数学といった学校の勉強に関係したものが多いのが特長です。
「現実に立ち向かうために必要とする知性、豊かな感性と想像力を、きみたちが自らのなかに育てるのに役立ててもらえるよう、すぐれた執筆者による適切な話題を、豊富な写真や挿絵とともに書き下しで提供します」(岩波ジュニア新書の発足に際して 1979年6月)
の言葉の通り、面白い本が多く、一般教養に触れる機会、学校で学んでいる教科を楽しんだり身近に感じる機会を作ってくれる貴重なシリーズです。
でも残念ながら、中高生が自ら手に取ることはまずない、と思います。テーマがカタいし、装丁もパッとしない(「よりみちパンセ」シリーズならまだ手に取ってもらえるかも)し。古典的な児童文学と同じで、とっつきは良くないんだけど、読みはじめれば面白いのに。実にもったいないことです。
かと言って、「これ読んでみたら」と手渡したら読んでくれるか?というと、それもまた難しい。中高生ともなれば、読む本は自分で決めるでしょうし、そもそも本って、自分が読む気にならないとなかなか読めませんよね。ましてや、自分が読んでいない本を薦めるのも、なんか気おくれしますし。
そこでお薦めしたいのは、親が自分のために買うことです。実は、大人が入門書として読むにも適している(『だから、新書を読みなさい』(奥野宣之、サンマーク出版) で、大人のための「極めつけの新書」としてイチオシになっている)のが、岩波ジュニア新書なんです。その道の一流の専門家が書いているので、中高生向けといえど、内容はしっかりしています。大人が読んでも読み応え十分です。家にさりげなく置いておき、子どもが何となく手に取って読んでしまう、となれば作戦成功です(読まなくても仕方ないと割り切ってくださいね)。
2010年6月 佐々木