ランドルフさんのゲーム
2022年はランドルフさんが生まれて100年
数々の傑作ゲームを作り、「ゲーム発明家」という役割を「発明」し、ゲームの箱に作者の名前を入れさせることに貢献したアレックス・ランドルフさん。
私たちは、2001年から彼を敬愛し続けてきました。ご存命中には、ベニスに会いに行ったり、亡くなった後は、彼の命日と誕生日にあたるゴールデンウィークに、彼の作品の展示や代表作「ガイスター」の大会をしてきました。それもひとえに、ランドルフさんのことを忘れないでいて欲しい、という思いからです。今年は、彼が生まれてちょうど100年という記念すべき年です。百町森でも、改めてランドルフさんをフィーチュアし、取り上げていきたいと思います。
100年記念連載「Grazie, Alex!」
自称アレックス・ランドルフ研究家のスタッフ佐々木が、ランドルフさんのことを色んな切り口で紹介する連載です。
- アレックス・ランドルフって誰?
- 巨匠が愛したすごろく
- 「こぶた」vs.「コブタ」
- 「ランドルフ研究家」爆誕す?
- 今でも買えるランドルフ作品その1
- 今でも買えるランドルフ作品その2
- デビュー作 Pan-kai とペントミノ
- ランドルフ論文が出た!
- マンカラとオーワーリー
- ツィクスト
- 「カンガルー」から「ウミガメ」へ
- 生涯のテーマ「Turnibles(ターニブルズ)」
- HexとTwixT
- 「ガイスター」登場の謎
- 日本で誕生した「Neo-Chess(ネオチェス)」
- 宝島に集った16人のゲーム作家達
YouTubeでの配信
お知らせ
百町森に止まらず、ランドルフさんに関する動きをお知らせします。
ここでご紹介するゲームの作者は、アレックス・ランドルフさん。ゲームの盛んなドイツの中でも「五本の指に入る」と言われるゲーム作家です。これまで100前後の作品があり、そのうち約20のゲームでなんらかの賞をもらっています。
広告の仕事をしていた彼が、ゲームづくりの道に入ったのは、なんと40才直前。1960年代には日本にも住み、その間に田丸三段から将棋を教わり、有段者になったそうです。きっと根っからのゲーム好きなんでしょう。うれしくなっちゃいますね。
彼はその才能を、大人のためだけでなく、小さな子どもたちのためにも惜しみなく注ぎました。特にすごろく(レースゲーム)については、「これでもか」というほど、様々なアイデアを商品化し、最後にたどり着いたのが「すすめコブタくん(こぶたのかけっこ)」です。01年、このゲームに出会った時、私たちはその面白さに大喜びし、ランドルフさんに注目するきっかけともなりました。以来10年、ずっと売れ続けています。
02年10月、エッセンの「ゲームの日」では、80才を記念した特別展があり、試作品やスケッチなどが展示されたそうです。夜の受賞パーティでは、参加者がお祝いの拍手をする一幕もあったそうです。若いゲーム作家から「オールド・ファーザー」として慕われていたランドルフさんならではですね。
04年4月27日、ランドルフさんは、82才の誕生日を目前に、ベニスで亡くなりました。思えば、01年末の「コプタ通信」で、ランドルフさん特集をして以来、ずっと敬愛し続け、その作品や文章などを通して、ゲームの面白さや奥の深さを教えてもらい、ゲームの世界への扉を開いてもらった気がします。
ありがたいことに、彼はたくさんの楽しいゲームを残していってくれました。亡くなる直前に「私のゲームが生き続けるか心配だ」とおっしゃっていたそうですが、どうかご心配なく。あなたのアイデアはこれらのゲームを遊ぶたびに、くり返し生き続け、これからも多くの人を楽しませることでしょう。ありがとう、ランドルフさん。
(コプタ通信2011年6月号 佐々木)
ランドルフ略年譜
「Die Sonnenseite(陽のあたる場所)」から抜き書きしたもの。これまで掲載していた年譜と異なりますが、こちらが正しいと思われます。(自称アレックス・ランドルフ研究家の佐々木が作成)
年 | 年齢 | できごと |
---|---|---|
1922.5.4 | 0 | ボヘミア地方でアレックス誕生(現在のチェコ) |
1924 | 2 | ベニスに定住 |
1932? | 10 | スイスの寄宿学校 |
ベニスのギムナジウム | ||
1938 | 16 | 両親はコロラドの農場へ |
アレックスは「ナンセン旅券」で渡米 | ||
1940.9? | 18 | シカゴ大学入学 |
1942.12 | 20 | 大学3年を中断して従軍 |
北アフリカ(カサブランカ→アルジェリア)へ | ||
1945 | 23 | オーストリアで終戦を迎える |
1952 | 30 | ゲアトルーデ(妻)と出会う |
1954 | 32 | 「ネリーのおはなし」執筆 |
1954 | 32 | 最初の出版物「郵便船」 |
1955.6 | 33 | 母マリー死去 |
1958.10 | 36 | ウィーンの「カフェ・ハヴェルカ」で友人のフォイアシュタインに「Twixt」のアイデアを見せる。 |
1959? | 37 | ボストンで広告代理店の編集者として働いている間に、ペントミノを再発見 |
1961 | 39 | 最初のゲーム「Pan-Kai パンカイ」発売 |
アレックスとゲアトルーデ、ローマへ | ||
1962 | 40 | 「Twixt トゥイクスト」発売 |
1966 | 44 | 将棋を学ぶため日本へ |
1972 | 50 | ベニスへ |
1982 | 60 | 「ザーガランド」が年間ゲーム大賞受賞 |
2004.4.27 | 81 | ベニスにて永眠 |
2012 | (90) | 生誕90周年に合わせて、伝記的書籍「Die Sonnenseite」(Drei Hasen in der Abentsonne)出版、、ニュルンベルクのドイツゲーム資料館(Deutsches Spiele-Archiv in Nüremberg)で特別展開催 |
2022 | (100) | 生誕100周年を記念して、特設サイトがオープン |
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